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小学4年生の習い事の選び方と見直し方:10歳の壁を乗り越えるヒント

「そろそろ高学年だし、今の習い事を続けていていいのかな?」
「周りが中学受験の準備を始めたけれど、うちはどうしよう?」

小学4年生になると、このような悩みを抱える保護者様が一気に増えます。いわゆる「10歳の壁」と呼ばれる時期に差し掛かり、学校の勉強が難しくなるだけでなく、精神的にも大人びてくるため、今まで通りの関わり方ではうまくいかない場面が出てくるからです。

低学年の頃は「楽しければOK」だった習い事も、4年生になれば「将来につながるか」「勉強時間を圧迫しないか」という視点が必要になります。しかし、焦って整理してしまうと、子どもの自己肯定感を下げてしまうリスクもあります。

この記事でわかること

ここから先の情報を読むことで、お子様の現在の状況に合わせた最適な「習い事の選択」ができるようになります。親子で納得して高学年を迎えるためのヒントを、詳しく解説していきます。

小学4年生が習い事の「曲がり角」と言われる理由

多くのご家庭で、小学4年生は生活スタイルや教育方針を大きく見直すタイミングとなります。なぜ3年生や5年生ではなく、4年生が重要なのでしょうか。まずは、この時期のお子様を取り巻く環境の変化と、心身の成長について深く理解しておく必要があります。背景を知ることで、感情的な判断ではなく、論理的な選択ができるようになります。

「10歳の壁」による精神的な変化と自立心

9歳から10歳にかけては、発達心理学の観点からも「ギャングエイジ」から脱却し、より個としての意識が強まる時期です。これを一般的に「10歳の壁」や「小4の壁」と呼びます。今まで親の言う通りに「なんとなく」通っていたスイミングやピアノに対して、「なぜこれをやらなければならないのか?」と疑問を持ち始めるのがこの時期です。

例えば、これまでは「行きたくない」と駄々をこねるだけだったのが、「友達の〇〇くんは遊んでいるのに、僕は練習があるから遊べない。これに何の意味があるの?」と、論理的に反抗してくることがあります。これは反抗期というよりも、順調な成長の証です。自分と他人を比較し、客観的に自分を見る能力(メタ認知)が育っている証拠といえます。

親としては扱いにくさを感じるかもしれませんが、この「自我の芽生え」は習い事を見直す絶好のチャンスです。親主導で決めた習い事を整理し、本人が「やりたい」と意志を持って取り組めるものにシフトすることで、やらされ感のない、質の高い時間の使い方ができるようになります。

学校の授業時間増と学習内容の高度化

物理的な時間の制約が厳しくなるのも小学4年生の特徴です。学習指導要領において、4年生からは6時間授業の日数が増加します。学校からの帰宅時間が16時頃になると、そこから宿題をこなし、おやつを食べ、習い事へ向かうとなると、自由時間はほとんど残りません。

さらに、算数では「小数・分数の計算」や「割合」といった抽象的な概念が登場し、国語でも文章読解の難易度が上がります。学校の宿題にかかる時間も、低学年の頃とは比べ物にならないほど長くなる傾向があります。具体的には、以前は30分で終わっていた宿題が、1時間近くかかるようになることも珍しくありません。

これまで週4回の習い事をこなせていたお子様でも、体力的な疲れと勉強へのプレッシャーから、同じスケジュールを維持するのが困難になります。「忙しすぎて学校の準備がおろそかになる」「睡眠時間が削られる」といった兆候が見えたら、それはスケジュールの限界サインです。

データで見る小学4年生の習い事トレンド

データで見る小学4年生の習い事トレンド

同級生たちはどのような習い事をしているのか、気になる方も多いでしょう。周囲の状況を知ることは、焦りを解消する手助けになりますが、あくまで参考程度にとどめることが大切です。ここでは、一般的なランキングと、近年注目されている傾向について整理します。

依然として強いスポーツ系と学習系のバランス

小学4年生になっても、水泳やサッカー、ピアノといった定番の習い事は根強い人気があります。しかし、低学年と違うのは「楽しむための習い事」から「特技として伸ばす習い事」と「学習補強のための習い事」へ二極化していく点です。

具体的な人気ランキング(傾向)は以下のようになっています。

順位習い事の種類4年生での傾向と特徴
1位水泳(スイミング)体力作りで継続する層と、4泳法習得で卒業する層に分かれる
2位学習塾・公文学校の補習または中学受験準備として通う子が急増する
3位英語・英会話学校での英語必修化に伴い、実用的な会話力を求める傾向
4位ピアノ・音楽教室コンクールを目指す本格派と、勉強優先で辞める派の分岐点
5位書道・習字集中力を養うため、または字を綺麗にするために継続率が高い

表を見るとわかるように、4年生は「卒業」と「本格化」の分かれ道です。例えばスイミングの場合、タイムを縮める選手コースへ進むのか、ひと通りの泳ぎ方を覚えたからここで区切りをつけるのか、家庭ごとの判断が明確になります。

また、学習塾が上位に食い込んでくるのもこの時期ならではです。中学受験をしない場合でも、「学校の勉強についていけるか不安」という理由で、補習型の塾や通信教育を始めるご家庭が多くなります。

プログラミングや探究学習への注目

近年、ランキング上位に迫る勢いを見せているのがプログラミング教室や、理科実験教室などの「探究型学習」です。2020年度からの小学校プログラミング教育必修化の影響もありますが、それ以上に「論理的思考力(ロジカルシンキング)」を養いたいという保護者のニーズが高まっています。

4年生になると、ゲームのマインクラフトやRobloxなどを通じて、自ら何かを作ることに熱中するお子様が増えます。「ゲームばかりしている」と叱るのではなく、その興味をプログラミング学習へと昇華させる良いタイミングでもあります。具体的には、ビジュアルプログラミング言語(Scratchなど)から、より実践的なテキストコーディングへとステップアップする教室に通い始める子もいます。

これらは単なる技術習得だけでなく、「問題解決能力」や「試行錯誤する力」を育むため、これからの社会で必要とされるスキルに直結します。勉強とは違う角度で頭を使うため、学習塾の息抜きとして通うケースも見受けられます。

4年生から「新しく始める」のは遅いのか?

「今からスポーツを始めても、低学年からやっている子には勝てないのでは?」「4年生からピアノを始めるのは無謀?」といった相談をよく受けます。結論から申し上げますと、4年生から始めるのは決して遅くありません。むしろ、この年齢だからこそ得られるメリットがあります。

理解力と集中力が武器になる

低学年からのスタートと、4年生からのスタートの最大の違いは「言葉による理解力」です。例えばダンスや空手などの身体を動かす習い事において、低学年のうちは「見て真似する」ことが中心ですが、4年生になればコーチの言葉による指導(重心の移動や体の使い方など)を論理的に理解し、すぐに実践に移すことができます。

実際に、4年生から水泳を始めたお子様が、コーチのアドバイスを的確に吸収し、わずか1年で低学年から通っている子たちと同じレベルに到達したという事例は数多くあります。「感覚」だけでなく「頭」を使って練習できるため、習得スピードが格段に速いのです。

また、親に連れられて始めたわけではなく、「自分がやりたい」と自分の意志で決めた習い事であれば、モチベーションの維持も容易です。スタートの遅れは、集中力と意欲で十分にカバーできると考えて間違いありません。

4年生からおすすめの習い事

この時期から始めるのにおすすめなのは、これまでの経験が活かせるものや、スタートラインが皆に近いものです。

特に英語に関しては、4年生あたりから「耳で覚える」時期から「文法や理屈で覚える」時期へと移行していきます。このタイミングで、読み書きを含めた学習をスタートするのは非常に効率的です。

「辞めどき」の判断基準と整理術

新しいことを始める以上に難しいのが、今ある習い事を「辞める」決断です。「せっかく続けてきたのにもったいない」「辞め癖がつくのではないか」と不安になるものです。ここでは、感情論ではなく、将来を見据えた冷静な判断基準について解説します。

ポジティブな撤退とネガティブな撤退

習い事を辞める際には、その理由が「前向きな選択」なのか、単なる「逃げ」なのかを見極めることが重要です。しかし、4年生の場合は単純に「嫌だから」という理由だけでなく、環境の変化が大きく影響していることを忘れてはいけません。

例えば、「練習に行けば楽しんでいるけれど、行くまでが億劫そう」という場合は、単に疲れているだけの可能性があります。この場合は、回数を減らすなどの調整で継続が可能かもしれません。一方で、「明らかに興味を失っている」「先生や友達との人間関係に悩み、行くことでストレスを抱えている」という場合は、きっぱりと辞めることがお子様の心を守ることにつながります。

最も推奨したいのは、「目標達成による卒業」です。「クロールができるようになったら辞める」「発表会が終わったら区切りをつける」など、親子でゴールを設定してください。これにより「辞めた」ではなく「卒業した」という成功体験として記憶に残ります。

中学受験(通塾)との両立問題

中学受験を検討しているご家庭にとって、4年生は通塾が始まる本格的なスタートラインです。大手進学塾では週2〜3回の通塾に加え、大量の宿題が出されます。ここで問題になるのが、既存の習い事とのバッティングです。

結論から言うと、全ての習い事を辞める必要はありませんが、優先順位の明確化は必須です。具体的には以下のような調整が現実的です。

大切なのは、子どもに「どちらを選ぶか」を決めさせることです。「塾に行きたいならサッカーは辞めなさい」と親が強制するのではなく、「両方やるには時間が足りないけれど、どう工夫すればいいと思う?」と問いかけ、本人に選択させるプロセスが自律心を育てます。

費用とスケジュールの管理術

最後に、現実的な「お金」と「時間」の管理について触れておきましょう。高学年に向けて教育費は上昇傾向にあります。無駄を省き、効果的な投資をするための視点をお伝えします。

習い事にかける費用の目安

文部科学省の調査などを参考にすると、公立小学校に通う高学年の習い事・学習費の平均は月額2万〜3万円程度と言われています。しかし、中学受験塾に通う場合は、4年生の時点で月額4万〜5万円(講習費等は別途)かかることも珍しくありません。

複数の習い事を掛け持ちしている場合、総額が家計を圧迫していないか確認しましょう。「なんとなく続けている月謝5,000円の習い事」を整理し、その分を将来の教育資金や、家族旅行などの体験活動に回すという選択肢もあります。4年生は、惰性での出費を見直す良い機会です。

「余白」のあるスケジュールの重要性

習い事を詰め込みすぎて、毎日が分刻みのスケジュールになっていませんか?高学年に向けて最も大切なのは、実は「何もしない時間(余白)」の確保です。

学校や習い事で常に指示され、動いている状態では、自分で考える力が育ちません。ボーッとしたり、好きな本を読んだり、自分で時間の使い方を決める「余白」があってこそ、心の安定や創造性が生まれます。具体的には、週に1〜2日は「習い事のない日(完全オフの日)」を作ることを強くおすすめします。

その余白があることで、急な宿題の増加にも対応でき、体調不良時のリカバリーも効くようになります。スケジュール帳を見て、空白が不安で埋めたくなる気持ちを抑え、あえて空白を残す勇気を持ちましょう。

よくある質問

子供が「全部辞めたい」と言い出しました。どうすればいいですか?

まずは理由を否定せずに聞きましょう。「疲れた」「友達と遊びたい」「先生が嫌だ」など理由は様々です。4年生は疲れが出やすい時期なので、一度全ての習い事を1ヶ月ほど休会してみるのも一つの手です。休んでみて「やっぱりやりたい」と思えば再開すれば良いですし、そのまま辞めても、その時間で得られる休息や遊びが今の成長には必要だったと捉えましょう。

周りはみんな英語を習っています。やっていないと中学校で困りますか?

必ずしも困るとは限りません。確かに先取り学習は有利ですが、嫌々通って英語嫌いになる方がリスクが高いです。もし習い事として通わないのであれば、家庭でNHKの英語番組を見たり、英語のアプリゲームで遊んだりと、英語への抵抗感をなくす工夫をしておけば十分対応できます。本人が興味を持ったタイミングが始めどきです。

スポーツ少年団に入っていますが、親の負担が重すぎて限界です。

4年生は親の関わり方も見直す時期です。無理をして親が倒れてしまっては元も子もありません。他の保護者と相談して当番の頻度を減らせないか交渉するか、あるいは送迎や当番のない民間のクラブチーム(スクール)への移籍を検討してみましょう。費用は上がりますが、親の精神的・時間的負担をお金で解決することも、家庭の平和を守る賢い選択です。

まとめ

小学4年生の習い事選びは、単なるスキルの習得だけでなく、子どもの自立心や時間の使い方を育てる重要なプロセスです。「10歳の壁」という変化の時期だからこそ、親の思い通りにはいかないことも増えますが、それは順調に成長している証でもあります。

最後に、この記事の要点を振り返ります。

習い事はあくまで「子どもの人生を豊かにするためのツール」です。今の習い事がお子様の笑顔につながっているか、負担になりすぎていないか、この機会にぜひ親子で話し合ってみてください。お子様自身が納得して選んだ道であれば、それがどんな選択であっても、きっと大きな成長につながるはずです。